採用サイトのリニューアルは、応募者数の増加や採用力の向上に直結する重要な取り組みです。本記事では、具体的な改善方法と成功のポイントを解説します。
リニューアルの進め方
採用サイトをリニューアルするとき、どうしても見た目(デザイン面)だけの変更に目が行きがちです。ですが、私たち制作会社としては採用サイトを単なる「情報掲載の場」に留めず、「企業が求める人材を惹きつけるツールとして活用できているか?」を確認したいところです。ここではまずWHY(なぜやるか)・WHO(誰が関わるか)・HOW(どんなステップで進めるか)という目線で整理してみます。
WHY, WHO, HOWに沿って考える
- WHY(なぜリニューアルするのか)
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たとえば「応募数が思うように伸びない」「コーポレートサイト内に採用情報が埋もれていて、求職者の目に止まらない」など、何かしらの課題があると思います。アクセス数はあるのに応募フォームで離脱が多いのか、そもそも募集要項にたどり着かないのかなど、課題によって改善策も変わります。
- WHO(誰が関わるべきか)
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リニューアルには採用担当者だけでなく、現場の社員や経営層、場合によっては制作会社など複数の視点が欠かせません。実際に現場で働く人のリアルな声や写真をサイトに載せるのか、経営陣が伝えたいビジョンを前面に押し出すのか。
現場のメンバーが見たときに、ちゃんと自社の魅力が伝わるか?を一緒にチェックすると、説得力あるコンテンツが生まれます。色んな声を拾いつつ、最終的な方向性を一本化しましょう。 - HOW(具体的な進め方)
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「現状分析」→「サイトコンセプト・構成設計」→「デザインとコンテンツ制作」→「公開・効果測定」→「継続的な改善」という流れで進めます。
現状の採用サイトを客観的に分析し、改善ポイントをリストアップ。次にデザイン面やコンテンツ面の方向性を決めて、ページ構成とワイヤーフレームを作成。最後に制作~公開後の効果測定・継続的なアップデートまで計画しておくと安心です。くれぐれも「作って終わり」にならないよう注意が必要です。
改善が必要な箇所の特定
WHY・WHO・HOWを大まかにイメージしたら、ヒートマップなどを活用して具体的な課題を洗い出します。よくある問題は「募集要項に辿り着く導線が分かりにくい」「せっかく求人ページを閲覧しているのに応募フォームで離脱してしまう」などがあります。
- ヒートマップの活用
クリック数やスクロール到達率を可視化するツール(UserHeatやMicrosoft Clarityなど)で、ユーザーがよく止まる箇所・離脱しやすい箇所をチェックします。トップページにボタンが埋もれていないか? 社員紹介ページは閲覧されているか? そうした実態を知ると、「デザインを直すべきか、文言を変えるべきか」など優先順位がハッキリします。 - データを見て、改善仮説を立てる
たとえば「募集要項ページの直帰率が高い=情報が見づらいのでは?」という仮説を立てたら、デザインやレイアウトを変えてみるなどの対策を試します。数字とユーザーの行動を見ながらPDCAを回すイメージです。とくに採用時期ごとに求職者数やニーズが変わる場合は、サイト更新をこまめに行うと効果的です。
募集要項へのアプローチをリニューアル
次は実際に求職者が「ここを見て応募を決める」もっとも重要な部分、募集要項です。中途採用や転職活動中の人は「どんなポジションがあるのか?」を真っ先にチェックします。彼らが確認したい情報はサイト内で見つけやすいか、情報が整理されているかが鍵になります。
募集要項の重要性
- 最初に見る情報が募集要項
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株式会社ベイジの調査によると、求職者の51%以上が採用サイトを訪問したら「すぐに募集要項を見たい」という結果が出ています。リニューアル時は募集要項の配置や内容を最優先で考えましょう。
(参考: https://baigie.me/service/recruit-website/blog/2024/10/18/recruitment_requirements/) - 企業イメージを左右する要素でもある
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「具体的な給与や勤務体系が書かれていない」「曖昧な表現が多い」といった募集要項は、企業のイメージが掴みにくいです。どんな会社か分からないままでは、応募にはつながりにくいですよね。
募集要項への導線設計
- トップページやグローバルナビに導線を置く
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リニューアル後のサイトトップには「募集一覧」や「職種を探す」といったメニューを作り、一発で飛べるようにするのが定石です。複数ステップを踏ませる構成だと、途中で「あれ、どこに書いてあるの?」と探し回って離脱されるリスクが高まります。
- クリック数を減らす工夫
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求職者は複数社のサイトを並行して見ています。回遊しにくいサイトはすぐ閉じられてしまうので、クリック数をできるだけ減らし、一瞬で自分が探す求人にたどり着けるように設計してみましょう。一覧ページで一部情報を見られるようにしておくのもありです。
募集要項のコンテンツ強化
- 必要な情報をきちんと盛り込む
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仕事内容、応募資格、勤務地、給与、福利厚生などを整理して書きましょう。求職者にとっては「必須情報」です。曖昧にせず、具体例を出したり数字を入れたりして説得力を持たせましょう。
- 画像や図解で補足する
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文字だらけより、アイコンやテーブルを使ったほうが視覚的にスッと入ります。例えば「給与レンジ表」や「ある1日の業務フロー」を図解するだけでも理解が深まりやすいです。
- 簡易フォームとの連携
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「本応募の前に、軽く話を聞いてみたい」という人向けに、名前とメールアドレスだけ送れる“仮エントリー”を設置している企業も増えています。ハードルが下がる分、まずは興味を持ってもらうきっかけになります。
ユーザーフィードバックを活かしたリニューアル
採用サイトはリニューアルして公開したら終わりではありません。公開後もユーザー(求職者)からのフィードバックを集めて改善を重ねていくことで、サイトはますます使いやすいものになります。ここではユーザーフィードバックの集め方と活かし方についてお伝えします。
フィードバック収集の機会設計
- 応募直後アンケート
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応募フォーム送信後、サンクスページで「サイトは見やすかったか」「欲しい情報は揃っていたか」と簡単なアンケートを設置。選択式でサクッと答えられる形にすると回答率が上がります。「実は選考に進むか迷っていたが社員インタビュー記事を読んで志望度が上がった」など嬉しい声が聞けるかもしれませんし、逆に「○○について情報が欲しかった」といった指摘があれば早速コンテンツ追加を検討しましょう。
- 内定者・辞退者へのヒアリング
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内定者に「決め手はなんだった?」、辞退者には「辞退した理由は?」と聞いてみましょう。特に内定者は貴重な「成功事例」でもあるので、その人たちに響いたコンテンツは今後もプッシュする価値がありますし、他社サイトの良いところは積極的に取り入れましょう。
- サイト上でのフィードバック導線
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「よくある質問」ページを用意し、それでも解決しない場合は問い合わせフォームから質問できるようにすると、求職者の疑問をキャッチできます。問い合わせ内容はそのままサイト改善案に使えます。同じ質問が繰り返し来るようなら、その回答をコンテンツに追加しましょう。最近ではチャットボットを導入し、求職者からの質問に自動応答するとともに未解決の質問を記録しておく、という事例もあります。
フィードバック活用の効果として、freee社の採用サイトではリニューアル後「候補者が面接でしてくる質問の内容が具体的になった」という変化があったそうです(baigie.me)。サイトに豊富な情報を載せておいたおかげで、候補者は基本的な疑問を解消した上で面接に臨み、「〇〇についてサイトで読みましたが、実際はどうなんですか?」といった一歩踏み込んだ質問をするようになったとのことです。
採用サイトでの効果的なフィードバック収集方法
- アンケート設計をシンプルに
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アンケートが長すぎると離脱されがちです。最重要ポイントを記述式で3~5問に絞り、あとは自由記述欄で補足してもらうくらいが良いです。
- 匿名性を確保する
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特に辞退者や採用見送りになった方は、遠慮して本音を言えないケースもあります。匿名でフィードバック可能にすると率直な意見が集まりやすく、サイト改善に大いに役立ちます。
もっと「伝わる」「届く」情報整理をしたリニューアル
応募率(サイト訪問者が実際に応募に至る割合)を高めるには、サイト上の情報発信を工夫し求職者の心を掴むことがポイントです。ただ単に情報量を増やすだけでなく、伝え方にもこだわりましょう。
情報の整理と提供方法の工夫
- 動画や写真で職場を可視化
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テキストでは伝えにくい社内の雰囲気や社員の人柄は動画が最適です。例えば「1分で分かる〇〇社」という会社紹介動画や、社員へのインタビュー動画、オフィスツアー動画などを掲載しましょう。注意点は長すぎないことと、リアルさを大切にすることです。長すぎる場合は、数分以内にまとめるか短いパートを複数用意するなどの工夫を取り入れます。
- SNS連携
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Twitter(X)やInstagramで普段の社内イベント、ちょっとしたエピソードを発信しているなら、採用サイトにも埋め込むケースが増えています。ただし、「採用活動中に企業のSNSアカウントをフォローした」という人は「あまり/ほとんどしなかった」が74.6%というデータもあり(baigie.me)、求職者全員が積極的にSNSをチェックしているわけではありません。ですが裏を返せば4人に1人程度は企業SNSも見ているので、連携しておくに越したことはありません。
サイト運用と改善のポイント
- 運用担当を決める
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リニューアル後に「誰も更新しない」状態にならないよう、運用ルールをあらかじめ決めておきます。例えば「月に1回は募集要項の内容を見直す」「社内イベントがあったら写真をアップする」など、小さなタスクでも継続が大事です。
- アクセス解析やヒートマップの継続チェック
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Googleアナリティクス(GA4)で応募完了数やページビューをモニタリングし、UserHeatなどでスクロール率を調べれば改善ポイントが見えてきます。とくに応募フォームのコンバージョン計測は大切なので、実装を忘れずに。
- 制作会社に相談するタイミング
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「そろそろ追加コンテンツを作りたい」「大幅にデザインを変えたい」と思ったら、気軽に制作会社に相談してみましょう。人事側で用意したコンテンツ(文章や写真)と制作会社のデザイン力を合わせれば、より魅力的なページに仕上がります。
実践的チェックリスト&改善ツール紹介
ここまで色々な観点から採用サイトリニューアルのポイントを見てきました。情報量も多く、「全部ちゃんとできるかな?」と不安になるかもしれません。そこでチェックリストを用意しました。この記事で触れていない項目もありますが、制作会社の私たちも、抜け漏れ防止のためによくチェックリストを活用します
採用サイト改善チェックリスト
戦略・目的の明確化
- 採用サイトをリニューアルする目的(例:応募◯%増、ターゲット人材の獲得)が定量的に設定されている
- ターゲットペルソナが定義され、サイトのメインメッセージがその人物像に刺さる内容になっている
- 競合企業の採用サイトを分析し、自社との差別化ポイントを整理した
コンテンツ充実度
- 全ての募集要項が最新の情報に更新され、必要項目が漏れなく記載されている(職種・仕事内容・応募条件・勤務地・給与・待遇など)
- 求める人物像や自社の魅力が具体的に盛り込まれている(例:「〇〇のスキルを持った方歓迎」「◎◎な社風で働きやすい」など)
- 応募後の選考プロセスやスケジュールについて説明がある
- 会社概要やビジョン、福利厚生、社内制度などの企業情報ページが充実している
- 社員インタビューや社員紹介のコンテンツがある(可能なら複数部門・年代の社員を網羅)
- 写真や動画などビジュアル素材が豊富で、テキストだけのページになっていない(社員の顔が見える写真を使用)
- 定期的に最新情報(イベント情報や新着インタビュー等)を追加・更新できる仕組みがある(CMSで自社更新可能、ニュース欄の設置など)
ユーザビリティ&導線
- スマートフォン表示に最適化されている(レスポンシブ対応)。主要ブラウザ(Chrome/Safari/Firefox/Edge等)でレイアウト崩れがない
- トップページから求人一覧ページまで1クリックで到達できる。メニューや目立つボタンで明示してある
- グローバルナビゲーション(サイト共通ヘッダー・フッター)があり、どのページからでも主要コンテンツに移動しやすい
- 各募集要項ページに応募ボタンが複数箇所配置されている(ページ上部+下部など)。ボタンは目立つ色で大きく表示
- スマホ閲覧時に応募ボタンが常に画面上に表示されている(または常に表示される固定フッターなど)
- 応募フォームの項目数は適切か(入力負荷が高すぎないか)。必須項目を絞り、ステップを分けるなどの工夫がされている
- サイト内のリンク切れや誤字脱字がない(公開前にチェックツールや手動テストで確認済み)
SEO
- サイトがSSL(HTTPS)対応されている(ブラウザで「保護されていない通信」警告が出ない)
- 各ページに適切なタイトルタグやメタディスクリプションが設定され、求人ポジション名などが含まれている
- OGP(Open Graph Protocol)タグが設定され、SNSでURLをシェアした際に適切な画像・テキストが表示される
- サイトマップXMLを用意し、Googleサーチコンソールに送信済み(検索エンジンにサイト構造を通知)
- ページ表示速度が速く最適化されている(画像圧縮、不要なスクリプト削除、ブラウザキャッシュ活用など実施)
- IndeedやGoogle for Jobsへの対応を検討している(必須ではないが、求人票の構造化データマークアップで露出増を図る等)
トラッキング・効果測定
- Googleアナリティクス(GA4)が導入され、主要なコンバージョン(応募完了や問い合わせ送信)がトラッキング設定されている
- Googleサーチコンソールが導入され、検索クエリやクリック数をモニタリングできる
- ヒートマップツール(例:ユーザーヒート、Ptengine、Hotjar、Microsoft Clarityなど)を導入しユーザーの行動分析を行っている
- 応募があった際に担当者へメールやチャット通知が来るよう設定されている(応募の見逃し防止)
- 定期的にKPIレポートを作成し、チーム内で効果をレビューする体制がある
継続改善体制
- 応募者や内定者へのアンケートでサイトの感想を集めている
- サイト改善のアイデアやユーザーの声を蓄積し、次回更新に活かす仕組みがある(Treloやスプレッドシートでタスク管理など)
- 社内の関係者から随時フィードバックを募り反映できている(現場社員から「ここも伝えたい」という声があれば検討)
リストは以上です(本当はもっとありますが、主要なものを抜粋しました)。全部満たすのは理想論かもしれませんが、抜けが致命的なポイントにならないよう事前に確認することが大切です
おすすめ改善ツール紹介
Google Analytics / サーチコンソール(効果測定)
無料解析ツール。サイト流入経路やユーザー行動、コンバージョン数を把握できます。サーチコンソールではどんな検索クエリで自社採用サイトに流入しているかが分かるので、「想定外のキーワードで流入が多い→ではその情報をもっと充実させよう」といった発見も得られます。
ヒートマップツール(UI改善)
記事でも触れたヒートマップツールです。無料で使えるものではUserHeatやMicrosoft Clarityが人気です。有料ではPtengineやHotjarなど高度な分析・ABテスト連携ができるものもあります。導入もスクリプトタグを埋め込むだけと手軽です。ヒートマップで得られた発見はUI改善の指針になりますし、社内での説明資料に視覚的な証拠として載せると説得力抜群です。「ここまで読まれてません」と示せれば一目瞭然です。
【まとめ】採用サイトの成功は「設計」と「運用」がカギ
採用サイトをリニューアルする際は、表面的なデザイン変更だけでなく、以下の点を意識すると良いでしょう。
「応募数アップ」「社内の雰囲気をきちんと伝える」など、最終的なゴールを決めておけば方向性がぶれません。
ヒートマップやアクセス解析を使って、問題箇所をピンポイントでリニューアルします。闇雲に変えるよりも成果が見込めます。
求職者が一番知りたい情報だからこそ、すぐ見つかる位置に置いて、内容も充実させましょう。
応募者や内定者からの声を集めて、サイトに反映させるサイクルを回すとどんどんクオリティが上がります。
定期的なメンテナンスやアクセス解析で、常に“最新の情報”を発信。作りっぱなしはもったいないです。
これらを踏まえ、採用サイトを運用すれば、求人広告やエージェント任せだった採用コストの削減や、応募者の質向上、内定承諾率アップなど、さまざまなメリットが期待できます。
「うちは情報量が少ないから…」とか「デザインが古いし、何から手をつけたらいいの?」とお悩みの採用担当者の方は多いです。でも大丈夫です。制作会社とタッグを組んだり、社内で少しずつコンテンツを作りこんでいくことができます。自社に合った計画を立てて、ぜひリニューアルを成功させてください。
「採用ページ制作プラン」で、貴社の魅力を最大限に発信しませんか?
本記事では、採用サイトの重要性や最新のトレンドについてご紹介しました。
企業が優秀な人材を獲得するためには、自社の魅力をしっかりと伝えられる採用サイトの存在が欠かせません。
私たちホームページ制作ZIUSでは、採用ページに特化した制作サービス「採用ページ制作プラン」をご用意しています。採用サイトに必要な、基本的な情報からデザイン・画像のご提供まで、貴社の採用活動を強力にサポート。
修正や更新のご依頼も、月額料金範囲内で対応可能ですので、まずはご相談ください。
また、LP形式のデザインなので、求職者が求める情報にすぐ辿り着くことができます。採用サイトの制作をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
